世界で一番貧しい大統領ホセ・ムヒカの映画2作品比較
こんにちはMichi(@michiko_photography)です。
先日いずれも2020年に公開された、
ムヒカ 世界でいちばん貧しい大統領から日本人へ
制作者:日本人ディレクター 田部井 一真監督
世界でいちばん貧しい大統領 愛と闘争の男、ホセ・ムヒカ
制作者:映画「アンダーグラウンド」の名匠セルビア人監督 エミール・クストリッツァ
というぺぺ(ホセ・ムヒカ ウルグアイ元大統領の愛称)を追ったドキュメンタリー映画2作品を観ました。
今回は、
ぺぺのドキュメンタリー映画2作品、観るならどっち?
観賞後比較レビュー(ネタバレあり)です。
ぺぺは大統領就任中、給料の9割を寄付。
内7割は貧困層向けの無償住宅建設に使い、自分は妻所有の質素な自宅で暮らしており、イギリスBBCが取り上げたこちらの記事で一躍世界中に知られる事となりました。
”ホセムヒカ: 世界で’最も貧しい’ 大統領"
-BBC News
そして思わずメモを取りたくなる、グサっと刺さる名言をたくさん残してきたぺぺ。
まずはぺぺの心に残る名言をいくつかご紹介
・人は好事や成功よりも苦痛や逆境からより多くを学ぶものだ
・私たちは発展するために生まれてきたわけではない、幸せになるために地球に生まれてきたのだ
・最良のリーダーとは、自らが去る時自分を超える人材を残していく者である
・大金持ちになったらどうなるか?だまされないように必死に警戒するだろう。そしてそれを心配するだけの人生だよ
・貧しい人というのは、ものをもっていない人のことではない。真に貧しい人というのは、際限なくものを欲しがり永遠に満たされない人のことである
・大統領制は君主制に似てしまう欠点がある。たくさんの国民に選ばれたなら、国民と同じ暮らしをすべきだ。特権層ではなくね
・大統領官邸に住んで42人の職員を雇うぐらいなら、学校のために経費を使いたいので住まない
・革命は法を生む原動力として他の何よりも強い力を持っている
ーホセ・ムヒカ
「最良のリーダーとは、自らが去る時自分を超える人材を残していく者である」これは日本の政治家、後藤新平の信念にも似ています。
金を残して死ぬのは下だ
事業を残して死ぬのは中だ
人を残して死ぬのが上だ
- 後藤新平(1857〜1929)
後藤新平も自宅を担保にして新聞社の設立に貢献したり、日比谷公会堂を建設したりとそれまで軽視されていた「国民の文化を育てる」という部分に注力を注いだ人物。
後藤新平の功績を見ているとぺぺとの共通点を多く感じます。ほんの100年ほど前には志の高い政治家が日本にもいたんだなぁと感慨深いです。
本題に戻り、ぺぺのキャラクターや信念に少し触れたところで、2作品レビューしていきます。
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ぺぺドキュメンタリー|日本版作品の疑問に答えてくれるのが海外版作品
日本版ドキュメンタリー「ムヒカ 世界でいちばん貧しい大統領から日本人へ」は少し不完全燃焼な気持ちが残る作品でした。
そう感じた要因は、
・ナレーションが多い事。
・制作者の個人的な心情と出来事に関する情報が多い事。
そういったことからドキュメンタリー全体を通して“ぺぺ本人の言葉ではなく別の誰かのぺぺに関する話”と感じたからなのかも知れません。
-ムヒカ 世界でいちばん貧しい大統領から日本人へ(予告編)
海外版は打って変わってナレーションほぼ無し。BGMも必要最低限でザ!ドキュメンタリー!という印象です(いい意味で)。
- 世界でいちばん貧しい大統領 愛と闘争の男、ホセ・ムヒカ(予告編)
今回日本版作品を観てから海外版作品を観賞比較してみた結果、日本版ドキュメンタリーでモヤモヤと残った疑問を海外版ドキュメンタリーが答えてくれるという感じでした。下記はその一部です。
日本版作品での疑問|なぜタンゴが好きなの?
日本版作品での疑問
ぺぺはいつも朝早くからタンゴを大声で歌っていたと、答えていた近所の日系ウルグアイ人の男性。
日本のドキュメンタリーでは、なぜタンゴが好きなのか教えてはくれなかったのでただ明るい人だったんだな〜くらいの印象でした。
海外版作品での答え
タンゴは哀愁そのものだ。何を手に入れ何を失ったか。人生での哀失を知る者のための歌なんだ。いくつかの挫折を味わった後に、好きになる音楽だ
と海外版でぺぺが話しているのを観てそういうことかと納得。
日本版作品での疑問|妻ルシアの思い
日本版作品での疑問
妻であるルシアはこれまでの自分の人生またぺぺと歩んできた人生についてどう思っているのか。日本版ドキュメンタリーを観てとても興味が沸きましたが作品の中ではルシアへのインタビューはなく、たまに映る程度でした。
海外版作品での答え
そこも海外版では妻ルシアのインタビュー、彼女自身の政治家として演説にも触れることができます。とても魅力的な女性であることが分かります。
日本版作品での疑問|なぜゲリラに参加し犯罪を犯す道を選んだのか
日本版作品での疑問
14年間の投獄の原因にもなった若き日のぺぺのゲリラ左翼集団、トゥパマロスでの活動。なぜゲリラに参加し、犯罪を犯す道を選んだのか。そこも日本のドキュメンタリーだけでは理由までは知ることができません。
海外版作品での答え
海外版ではぺぺが当時の心境となぜそうするしかなかったのか、答えてくれています。
富裕層から盗んだものを貧困層に分け与えたり、銀行を襲撃したり、使っていた銃の種類、過去を後悔しているかどうか..。詳細に当時の様子を語っています。
結論|どちらがおすすめ?
ぺぺについてより詳しく知りたい人:
海外版世界でいちばん貧しい大統領 愛と闘争の男、ホセ・ムヒカ
ぺぺと日本の関係についても知りたい人:
日本版 ムヒカ 世界でいちばん貧しい大統領から日本人へ
とにかくぺぺについてもっと知りたい!と言う人は、ぺぺのインタビューも多い海外版作品のほうがおすすめです。
これまでのぺぺの歴史については知っていて、ぺぺが日本に対して感じるものを知りたいという方は日本版がしっくりきます。
【2作品の共通点】
- ぺぺが育てる菊の花(花栽培)
- 牢獄生活(14年間ほとんどの期間が独房)
- 愛犬(いつもぺぺに寄り添ってる)
- 写真(ぺぺとルシアの過去の写真)
など2作品は扱う情報に共通点も多く、日本人制作者がみるぺぺと、セルビア人制作者がみるぺぺを別の視点から観ることができるのは面白かったです。
ところで日本版作品に批判的になってしまいました。ですが日本とぺぺとの共通点にフォーカスした作品であるので、『遠い国の、自分には関係ない風変わりな大統領』としてではなく親近感が湧くのは素敵なところでした。
また、日本版ドキュメンタリーの中で取り上げられている外語大でのぺぺのスピーチは必見です。
ドキュメンタリーの中で銀座の街を車で走っていたときのぺぺの一言、
日本にはたくさん美しい人がいるのに、なぜ西洋人ばかり広告に使うの?
これもグサっと刺さりました。本当にその通りですよね。
そしてぺぺのこの一言に現代の私たちが抱える根本的な問題への課題があると感じました。
経済ではなく考え方の問題だ。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました 🙂
\今回紹介した映画はこちら/
ムヒカ 世界でいちばん貧しい大統領から日本人へ
こちらはDVD化、
ストリーミング化まだのようです。
\おすすめ本はこちら/
Kindle Unlimited
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